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長野地方裁判所 昭和42年(わ)18号 判決 1968年3月13日

本店所在地

長野県飯田市毛賀六二九番地

株式会社小木曽工務所

(右代表取締役 小木曽寿雄)

本籍と住居

長野県飯田市毛賀六二九番地

会社役員

小木曽嘉一

明治二九年六月二五日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官金井猛出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。

主文

被告人株式会社小木曽工務所を罰金一五〇万円に、

被告人小木曽嘉一を罰金五〇万円に、

それぞれ処する。

被告人小木曽嘉一において右罰金を完納することができないときは金五〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社小木曽工務所は昭和三三年一〇月一五日設立され、土木建築の請負等を営業目的とする会社であり、被告人小木曽嘉一は同会社の代表取締役として同会社の業務を統括していたものであるが、被告人小木曽嘉一は同会社の業務に関し、法人税の一部を免れようと企て、同会社の帳簿等に架空支出を計上し、飯田信用金庫等に多額の別途預金を設けてこれを正式の決算書から除外する等の不正な方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一、昭和三八年八月一日より昭和三九年七月三一日までの事業年度において、被告人株式会社小木曽工務所の所得金額が一一、九九二、八六五円あつたにもかかわらず、昭和三九年九月二九日所轄飯田税務署において同署長に対し、所得金額が八一五、五二一円であり、これに対する法人税額が二六九、一一〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の正規の法人税額四、四〇七、二六〇円と右申告税額との差額四、一三八、一五〇円を免れ、

第二、昭和三九年八月一日より昭和四〇年七月三一日までの事業年度において、被告人株式会社小木曽工務所の所得金額が七、八五二、一九一円あつたにもかかわらず、昭和四〇年九月二九日前記税務署において同署長に対し、所得金額が五〇一、六七六円であり、これに対する法人税額が一一〇、三五〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同の正規の法人税額二、六六六、九三〇円と右申告税額との差額二、五五六、五八〇円を免れたものである。

(判示各事業年度における所得金額の算定は別紙第一、第二の修正貸借対照表記載のとおりである)

(証拠)

一、被告人小木曽嘉一に対する質問てん末書および同人作成の各答申書

一、清水佐中作成の登記簿謄本

一、飯田税務署長作成の各証明書

一、大蔵事務官高木数能作成の各脱税額計算書

一、勝又一実、佐々木清、尾花清、渋谷正樹、林秀夫、小木曽寿雄、佐藤久男、伊藤覚一、首藤信雄、小木曽武、常盤久男、田辺恒男、小池金之助および今泉博の検察官に対する各供述調書

一、国税査察官高木数能作成の預金検討整理表、工事原価中架空、水増額整理表、個人収支関係整理表、簿外車輛検討整理表および法人税決議書(二通)

一、大蔵事務官作成の差押てん末書二通

一、佐々木清、小木曽寿雄(勝又一実と連名)および勝又一実(三通)作成の各答申書

一、今泉博および勝又一実に対する各質問てん末書

一、勝又一実作成の架空未払労務費に関する供述書

一、佐々木清作成の架空労務費に関しての答申書

一、大蔵事務官作成の個人収支調査書類

(法令の適用)

被告人株式会社小木曽工務所および同小木曽嘉一の判示第一の所為は昭和四〇年法律第三四号附則一九条によりその改正前の法人税法四八条一項(会社についてはなお同法五一条一項)に、判示第二の所為は法人税法一五九条一項(会社についてはなお同法一六四条一項)に各該当するところ、被告人小木曽には前科なく、本件後高額の関係諸税をほぼ完納した等諸般の情状を考慮して判示各罪につき罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により、それぞれ所定の罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人株式会社小木曽工務所を罰金一五〇万円に、被告人小木曽嘉一を罰金五〇万円に処し、なお同法一八条により被告人小木曽において右罰金を完納することができないときは、金五〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

(裁判官 和田啓一)

別紙第一

修正貸借対照表

昭和39年7月31日現在

<省略>

別紙第二

修正貸借対照表

昭和40年7月31日現在

<省略>

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